化粧品の防腐剤【パラベンvsフェノキシエタノール】

パラベンとフェノキシエタノール エイジングケア(シワ)
モモ
モモ

最近の化粧品はパラベンフリーが増えてきたね。

パラベンってそんなに悪いの?

研究員
研究員

パラベンの防腐効果は、他に類をみないくらい優秀なんです。

低用量で、様々な微生物の増殖を抑えてくれます。

刺激性があるということで、あまり良いイメージを持たれないのが残念です。

グレイシー
グレイシー

パラベンの代わりに使われているフェノキシエタノールは安全なの?

研究員
研究員

それでは、化粧品に使われているパラベンとフェノキシエタノールを比較していきましょう。

パラベンとフェノキシエタノールの防腐効果

パラベンはマルチタイプの防腐剤、フェノキシエタノールはグラム陰性菌に効果をあらわすタイプの防腐剤です。

ここでちょっと微生物の世界を勉強していきましょう。

・グラム陽性菌(黄色ブドウ球菌・表皮ブドウ球菌・アクネ菌など)

・グラム陰性菌(緑膿菌・大腸菌など)

・真菌(カビ・酵母・水虫菌)

分類学上で細菌に分類されるのは、グラム陽性菌・グラム陰性菌となり、真菌といわれるカビや酵母は人の細胞に近い構造をしているので、細菌(バクテリア)とは区別して考えていきます。

防腐剤はこの微生物の種類によって、効果をあらわしやすいものと、効果が出にくいものにわかれます。

化粧品が汚染されやすい可能性が高いのは、手や皮膚に多く存在する黄色ブドウ球菌(グラム陽性菌)や表皮ブドウ球菌(グラム陽性菌)になります。

パラベンの防腐効果

・グラム陽性菌(効果あり)

・グラム陰性菌(効果あり)

・真菌(増殖を抑える)

微生物

MIC(ppm)

メチル

エチル

プロピル

ブチル

枯草菌(グラム陽性桿菌)
Bacilus subtilis ATCC 6633

2,000

1,000

500

250

黄色ブドウ球菌(グラム陽性球菌)
Staphylococcus aureus ATCC 6538

2,000

1,000

500

125

表皮ブドウ球菌(グラム陽性球菌)
Staphylococcus epidermidis ATCC 12228

2,000

1,000

500

250

大腸菌(グラム陰性桿菌)
Escherichia coli ATCC 8739

2,000

1,000

500

500

肺炎桿菌(グラム陰性桿菌)
Klebsiella pneumoniae ATCC 8308

1,000

500

500

250

チフス菌(グラム陰性桿菌)
Salmonella typhosa ATCC 6539

1,000

1,000

500

250

腸内細菌(グラム陰性桿菌)
Proteus vulgaris ATCC 13315

1,000

500

250

125

セラチア(グラム陰性桿菌)
Serratia marcescens ATCC 8100

1,000

1,000

500

500

エンテロバクター・クロアカ(グラム陰性桿菌)
Enterobacter cloacae ATCC 23355

1,000

1,000

500

250

緑膿菌(グラム陰性桿菌)
Pseudomonas aeruginosa ATCC 9027

4,000

> 2,000

> 1,000

> 1,000

緑膿菌(グラム陰性桿菌)
Pseudomonas aeruginosa ATCC 15442

4,000

> 2,000

> 1,000

> 1,000

シュードモナス・スタッツェリ(グラム陰性桿菌)
Pseudomonas stutzeri

2,000

1,000

500

500

カンジダ(酵母)
Candida albicans ATCC 10231

1,000

500

250

125

出芽酵母(酵母)
Saccharomyces cerevisiae

1,000

500

125

32

コウジカビ(カビ)
Aspergillus niger ATCC 9642

1,000

500

250

125

アオカビ(カビ)
Penicillium chrysogenum ATCC 9480

500

250

125

63

白癬菌(カビ・水虫菌)
Trichophyton mentagrophytes

250

125

63

32

パラベンは微生物汚染の可能性の高い、黄色ブドウ球菌や表皮ブドウ球菌を抑える作用が高いことがわかります。

グラム陽性菌・グラム陰性菌にも防腐作用を示し、さらにカビや酵母(真菌)も抑えることができます。

フェノキシエタノール

・グラム陽性菌(効果が弱い)

・グラム陰性菌(効果あり)

・真菌(増殖を抑えられない)

微生物

MIC(ppm)

(ppm)

(%)

緑膿菌(グラム陰性桿菌)
Pseudomonas aeruginosa ATCC 9027

3,200

0.32

大腸菌(グラム陰性桿菌)
Escherichia coli ATCC 8739

3,600

0.36

黄色ブドウ球菌(グラム陽性球菌)
Staphylococcus aureus ATCC 6538

8,500

0.85

カンジダ(酵母)
Candida albicans ATCC 10231

5,400

0.54

コウジカビ(カビ)
Aspergillus niger ATCC 9642

3,300

0.33

フェノキシエタノールは、グラム陰性菌を抑える作用が高いことがわかります。

そのかわり、グラム陽性菌やカビ・酵母(真菌)には防腐効果が弱いことがわかります。

フェノキシエタノールはパラベンより防腐効果が弱いので、化粧品に配合するときは植物エキスなど防腐作用のある成分と組み合わせて使うことが多いのです。

その分、価格に反映されることになりますし、「これも入れたかったのに。」という成分のかわりに防腐作用のある成分を配合することになったりします。

ちょっと見ただけでもパラベンは様々な微生物に対して防腐効果を発揮することができるんです。

化粧品で特に抑えたいのが、黄色ブドウ球菌や表皮ブドウ球菌など、皮膚に多く存在する微生物たちです。

化粧品は手にとることが多いものなので、このときに微生物に汚染される可能性が高くなります。

特にクリームなど指でとるものは、汚染させるリスクが高くなるので、こういった抗菌試験を行う者としては「パラベン最高!と思っているんです。

ここでさらに微生物のお勉強を。

微生物は、グラム陽性とかグラム陰性とかで分類するのですが、これはグラム染色といって、専用の染色液で青と赤に染め分けをして判断します。

微生物の細胞膜の違いから染め分けできるのですが、この細胞膜の違いが抗菌剤の効果に影響を及ぼしています。

抗菌剤が効きにくいのが真菌(カビ・酵母)で、水虫薬に配合されているのは、白癬菌(水虫菌)に効果を発揮できるように特別に開発され医薬品に配合される抗菌剤になります。

フェノキシエタノールの使用が重要視される化粧品

フェノキシエタノールは、グラム陰性菌に高い防腐効果がある抗菌成分。

化粧品で抑えたいのが緑膿菌(グラム陰性菌)になります。

この緑膿菌は、目に入ると失明する可能性のある微生物なので、アイライナーやマスカラなど、目に入りやすい化粧品については、フェノキシエタノールを使います。

化粧品の試験でもアイライナーやマスカラは肌に塗る化粧品で行う試験の他に、さらにプラスαの試験を行って安全性を担保しています。

パラベンとフェノキシエタノールの刺激性

刺激性に関しては、フェノキシエタノールの方が弱いと言われています。

しかし、パラベンも敏感肌やパラベンに反応しやすい人以外は、肌に炎症をおこすような刺激は与えないと考えられています。

敏感肌の人やパラベンで炎症を起こしてしまう人は、パラベンフリー化粧品より敏感肌用に設計された化粧品を使用するようにして下さい。

肌に刺激があるのはパラベンだけではないので、炎症を起こしやすい成分を極力排除したものが、敏感肌用の化粧品になります。

出典:化粧品成分オンライン

現在のメチルパラベンの安全性への見解は、敏感肌や角層バリア機能が落ちている人はパラベンで刺激を受ける可能性があるということになります。

敏感肌におすすめの化粧品

【乾燥肌・敏感肌スキンケア対決】キュレルVSイハダVSヒフミド【成分徹底比較】
敏感肌・乾燥肌用化粧品には、それぞれ特徴とそれに見合った使い方があります。「キュレル」「イハダ」「ヒフミド」の特徴と、どんな用途で使ったら良いのかについて解説しています。敏感肌・乾燥肌化粧品にも美白ラインが登場しています。この美白成分は、炎症を抑える作用があるものを使用しているので、荒れた肌に使いやすくなっています。

まとめ

化粧品会社がパラベンを使うのは、

・防腐効果がマルチ(グラム陽性・グラム陰性・真菌に作用できる)

・防腐剤としての安全性が高い

・少量で効果があるので、コスパも良い

このような理由からなんです。

防腐剤なので、「肌に良い」とか「害はありません」ということはありません。

肌に使用できる防腐剤の中で、スペックが高いのはパラベンになります。

化粧品の防腐設計は製品の安全性を守るために重要なこと。

防腐設計だけで化粧品のセミナーが開けるくらいなんです。

その中で、もっとも優秀なのがパラベンだということは事実であること。

使用実績も80年もあるのに、「パラベンで老化が進む」といった、事例がないことも書き添えておきたいところです。

細胞試験では、経時変化といわれる長期間使用したときの評価は出来ないので、「長期間使用したらどうなるの?」といった評価は使用実績でしか評価することができないんです。

健康食品の原料でも、食歴(人が食べている期間)やコホート研究(フレンチパラドックス)のようなものから有用な成分を特定していく手法が用いられています。

安全性についても、長期間摂取しても安全ではないかという有力な仮説が成り立つと考えます。

光老化についても同じような考えで、紫外線が及ぼす影響について細胞レベルでの研究が進むことになりました。

パラベンで炎症を起こしてしまう人がいることも事実なんですが、アレルギーは個人差が大きく反映してしまいます。

私と私の家族も普通の人は反応しないものにアレルギーを示すことがあります。

(人気のあるシャンプーを使ったら、家族全員が頭に湿疹ができました。アレルギーを起こした成分は不明のままです(笑))

この場合、私たち家族がマイノリティなので、他のシャンプーを使うという選択をすることで回避することができます。

化粧品会社としてできることは、「選択肢を増やしてあげること」だと考えています。

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